整形外科
整形外科は運動器すなわち四肢・体幹の骨格、筋肉、靱帯、筋、脊髄・神経の疾患のほぼ全てを取り扱います。骨折・脱臼、スポーツ外傷などの急性疾患から変形性関節症、脊椎疾患、骨粗鬆症、関節リウマチなどの慢性疾患、小児整形など年齢、部位、病態とも広範囲かつ多肢にわたります。疾患の種類や個人の状態に応じて保存療法(薬物療法、注射療法、運動療法、物理療法、装具療法)や手術療法から最適の方法を選択して治療を行っています。まず何よりも正確に診断することが大切です。当院ではMRIに加え、新型CT(80列)の導入により診断精度が上がり、より精度の高い手術が安全に行えるようになりました。
<薬物療法>
特に関節リウマチ、骨粗鬆症の分野で近年目覚しい進歩があります。当院では個人の状態に応じて最適な薬剤が選択出来るようにほぼ全ての生物製剤や骨粗鬆症治療薬を準備しています。
<手術治療>
当院では①外傷②脊椎疾患③変性疾患が3本柱となっています。外傷は四肢・体幹全般に対して行っています。可能な限り早期に(必要に応じてダメージコントロールを行い)最新の方法で、軟部組織を温存した最小侵襲手術を心掛けています。骨折に関しては内固定材の進歩により、強固な固定が可能となり、リハビリ期間の短縮も可能となりました。スポーツ外傷では関節鏡を用いた鏡視下靱帯再建術(ACL,PCL,MPFL等)や鏡視下半月板縫合術などを積極的に行っています。脊椎疾患ではヘルニアや脊柱管狭窄症に対しては顕微鏡を用いた安全で低侵襲な手術を行っています。脊椎固定術も内固定材や機具の進歩により安全かつ低侵襲となり、病態に応じて後方進入椎体固定術(PLIF),前方後方同時進入椎体間固定術(XLIF,OLIF)を選択しています。圧迫骨折に対してはバルーン椎体形成術(BKP)も行っています。変性疾患に対しては矯正骨切術(外反母趾、変形性膝関節症 等)や人工関節置換術(股、膝、肩、肘、指 等)を行っています。いずれの手術に対しても術前、術後に積極的にリハビリを行い、早期の機能回復、社会復帰を目指しています。中には高齢者や既存障害・合併症があるため入院が長引く方もおられますが当院では地域包括ケア病棟を有しているため転院することなくリハビリを継続して在宅復帰を目指すことが可能です。
超高齢化社会となり、骨粗鬆症、変形性関節症、腰部脊柱管狭窄症の患者様が急増しています。骨粗鬆症を原因とする椎体骨折や大腿骨近位部骨折は患者様の日常生活動作(ADL)や生活の質(QOL)を低下させるだけでなく、生命予後にも影響を及ぼします。残念ながら骨粗鬆症患者の薬物療法導入率は約30%に留まっており、当院でも骨折して初めて診断され治療開始となる方が少なくありません。骨折の連鎖を予防するためには薬物療法が必須です。65歳以上の女性で骨粗鬆症の治療をされていない方は是非受診をご検討下さい。